定番問題(6-3)「色再現域」プロセスインキの濃度と色

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次の文の[ ]の中の正しいものを選びなさい。

4カラープロセスインキで印刷するときに,インキの量を多くして発色範囲を拡げようとしてもインキの紙への転移量には限界がある。また先にインキを載せた色が後の色を刷る際に一部が剥がれたり,後のインキが十分乗らないことがある。
さらにインキ量が多くなりすぎると,印刷された網点や文字などが版上の網点や文字に比べて太ってしまうドットゲインが生じる。このドットゲインは,画像の微妙な色の変化や色のバランス,あるいは鮮鋭度に悪影響を与え,画像全体の印象を悪くしてしまう。
したがって,印刷するときのインキ量は,安定して刷れる標準値を基準に行う必要がある。よりよい結果を得ようとして,その範囲を越えた設定で印刷をすると,制御不能な要素が増えるので,最終的な印刷品質は保証されない。
印刷は常に標準的なインキ量で行うが,その場合でも印刷固有の避けられない問題がある。4 カラーがセットになったあるプロセスインキのYMC について,RGB フィルタを介した濃度測定をしたら,以下のような値が得られた。

t3table.gif

これらのうちインキとフィルタの関係が[1: (1)反対色 (2)同系色 (3)純色 (4)補色]のところで濃度が高く出ているが,( )の中の値は,[2 : (1)理想インキではありえない (2)そのインキの色を出すために必要な (3)濃度を高めるために加えた]色成分である。
このインキのC インキ中にはM成分が[3 : (1)0.14 (2)0.20 (3)0.51 (4)0.74]含まれていて,Mインキ中にはY 成分が[4 : (1)0.14 (2)0.20 (3)0.51 (4)0.74]含まれていることがわかる。
これらから,プロセスインキにはあらかじめ[5 : (1)白 (2)グレー (3)純色]が含まれていて,しかもインキの色ごとに濁りを除いた発色範囲が異なり,色相誤差(Hue error)があることがわかる。よってRGB の3 色成分を,CMY+Bk の成分に置き換えるときは,混色された色ごとに色ズレを起こすことを補正する処理も行われることになる。
たとえば,原稿の赤い部分を,色分解したままの状態でY インキとMインキを刷り重ねると,Mインキ中には,かなりの[6 : (1)C (2)Y (3)W (4)Bk]成分が入っているので,本来ならば赤になるべきところが黄色味の強い赤になってしまう。これを防ぐため,色分解は刷り重なる部分のイエロー版の網点面積率を減らすように設定されている。

■設問についての解説

プロセスインキの特性を問う問題です。
問題中にある表は、CMYインキで刷った部分にRGBフィルタを介して濃度測定した結果です。この数値を見ることで、CMY各インキに含まれるほかの色成分がよくわかります。
プロセスカラーインキを製造しているインキメーカーは数十社ありますが、いずれのプロセスカラーインキも純粋なCMYの色成分にはなっていません。インキ製造工程のしくみから、必ずほかの色成分が含まれてしまいます。この分量については、個々のメーカーの製品によって多少の誤差はありますが、おおむね、問題表に見られるような割合となります。

色の基礎知識として、RGBの補色がCMYであることはDTPエキスパート認証試験の勉強や色彩・デザインの勉強をしてきた方々はご存知だと思います。Cインキでは、本来補色であるRフィルタを介した濃度測定のときのみ数値が出るはずなのですが、ほかのフィルタを介した場合にも濃度が測定されています。このことから、Cインキには、微量のM成分(Gフィルタを介した数値)とY成分(Bvフィルタを介した数値)が含まれていることがわかります。
問題前半の説明文の後の問題では、このことを問う形式になっています。[5]の問はやや文章に難があるように感じますが、CMY各色成分が含まれているということは、それぞれの掛け合わせた色であるグレー成分が含まれると考えるのでしょう。近年の更新試験問題では、この部分が削られていたように記憶していますので、おそらくこのタイトルの問題が出題された場合には、[5]の部分は穴あきとなっていないかもしれません。

【誰のための問題?】

印刷会社の方々は、既知のことと思います。
グレーバランスの問題との関連や画像処理上のベースとなる知識として理解しておくとよいでしょう。また、発注・校正指示を出すクライアントの方々やデザイナーも理解しておくとよいと思います。

カラー印刷の原理は、複数のインキを刷り重ねて実現するのですが、インキの特性上、ほかの色成分が含まれるため、CMY3色等量では、クリアなグレーが再現できません。そのため、色校正時の色調に関する校正指示についても、画像処理担当者は、これらを考慮して色調補正を行っています。また、クリアなグレーを再現するためにもCMYインキで構成されるグレー部分をKインキに置き換えるUCRなどの処理方法も利用されているわけです。

【出題の意図?】

この問題は、他のグラフィックアーツ関連の試験問題との関連性もありますね。
私としては、グレーバランス、調子の設定、カラーマネジメント関連の問題が関係するものと思いました。いずれも製版・画像処理・校正担当の方々の実務上の知識として捉えて、印刷の色再現に関わる要素のひとつとして理解しておくとよいのでしょう。

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